タイトル, 本文, 説明, 制作時期 --- 僕は転がる,  僕は坂道を転がっている、コロコロコロコロ・・・ ドールさんのパン屋も通り過ぎて、坂道を登るベージュの足高のワンボックスカーも 転がりぬけていく。どこへ行きたいんだろう。  この先は確か海だったはずだ。路面の線路に沿っていけばいい、簡単な事だ。 ただ僕の転がっているのを見て、多くの人が驚いている。 またはおかしく笑っていたりする。バカにしやがって。  たまたま通りかかった濃いグリーンの日傘を差している貴婦人が、僕を見て 「ファンタスティック」とか何とか。  そのままの勢いで白いビルの立ち並ぶ坂道の十字路に出た。 こちらの信号が青になっていたのだが自分が来たとたん急に赤でSTOPがかかった。 でもそんなものが出たって知ったことじゃない。僕はただ転がっているのだ。  十字路の脇から車がどっと沸いて出てきた。 車にしたら突然転がってる”何か”が急に沸いて出てきてビックリするだろう。  坂道の勢いも手伝って、十字路の真ん中まで飛び、一気にバウンドして、空を見上げた。 ビルの4階から5階付近から見る空はすがすがしく、電線に止まっている鳥の頭上を軽々通り抜けた。 それからまもなく、重力で僕は地面に着地を余儀なくされた。 2~3回反動で大きなバウンドをすると、海風が頬をなでた。海が近くなったのだ。  でもこのままの進路だと海の近くの大きなショッピングモールの中をそのまま駆け抜けなければいけない。 僕も車も急には止まれない。でも止まる理由なんてないし、むしろいっその事突っ込む事にしようと思った。  転がり続けているとショッピングモールの正面が見え、上機嫌のままその中を、バウンドを繰り返しながら レストランのガラスを突き破り、屋根から突破した。そらがまぶしい。 着地でお花屋さんを粉々にし、何回目かのジャンプでイベント中のマジックショーのトランプでできた ピラミッドをバラバラにし、ついでに観客の目も奪っていった。  緑の木の立ち並ぶショッピングモールの噴水のある白亜の休憩広場にもはばかることなく 突き進んでいった。その先には噴水がある。緑の木々を掻き分け、 勢い良く水を噴射している噴水にこれまた勢い良く転がりながら頭から突っ込んだ。 噴水を浴びると、頭から背中に幾らかの衝撃と冷気を感じ、水の圧力の反動で宙に舞う。 広場を通り越し日のあたる砂浜にクレーターができるくらいの勢いで衝突して、やっと止まった。  その場所で大の字になって大空を見上げるように寝転んだ。 「っはぁ、楽しかったぁ~」  たった今できた砂浜のクレーターに寝そべった僕は、いつの間にか頭に付いていた トランプ付きの花の髪飾りを取り外した。 それから空の広さを感じながら大きく深呼吸した。 海は何事もなかったかのようにきらめいていた。, うぬを言わさず転がりぬけっ!爽快感を感じる実験的文章, 2006/07/16 --- そらからパラソル,  ある日の午後だった。僕は相変わらず小学校をずるやすみしていた。自分の机の上の ノートには絵ばっかり。友達は居るけどあまり遊ばない。  いつものような綺麗に晴れ渡った空がある。学校なんて嫌い。僕はそれよりも綺麗な日 の当たる空の下でおもいっきり遊んでいたいんだ。少なくとも僕はね。  今日は近くの川原へ散歩にでもいこうかな。ママに黙ってこっそり。  ずるやすみはもうママはあきらめてるみたい。はじめのうちはああだこうだうるさくて 苦労したけど、いまはもう何も言ってこない。これはきっと僕の勝ちだと思っていいはず。  二階からするすると下り、玄関から扉を音をたてないように閉める。ママにみつかっち ゃうとまた面倒な事になるからしずかに。  昼に外に出るのはじつは良くある。昼頃決まって顔を出す三村さん家のポトフ(ネコ) なんて僕の顔なじみ、目の前を通るといつもにゃあって挨拶してくれる。うれしいね。  いつもの川原へでた。天気予報では今日は降るって聞いたけれど、空は晴れている。そ の代わりけっこう風がつよくて、小さい体の僕は突風が吹くと前にすすめなくなってしま う。  川原の、日に照らされた綺麗な雑草達を見ているとなんだか僕もその仲間になりたいよ うな気がした。そのまま雑草になってしまえたらいいのになぁと僕は思った。でもそんな のになれるはずないよねぇ、そう思って僕は平べったい小石を川に向けて投げた。その小 石は一回も跳ね返らなかった。  僕がそんないぢわるな川を見ていた時、急な突風が僕の顔をなでた。僕は風を全身にう けて、おっとっとと倒れそうになったけれど、なんとか持ちこたえた。  その風の、突然の号令によって、何かが空を舞いはじめた。僕は空を見上げる。  それは色とりどりのパラソルだった。空一面くるくると回って飛んで降ってきていた。 天気は外れたみたいだ。雨は一滴も降らない。替わりにパラソルがふわりふわり降ってき た。  ある川原を歩いている人はその光景に驚き、また別の人は憤慨し、またまた別の人は感 動していた。でもそれを見た僕は自分でも何が起きたか分からないくらい、一目散に家に 向かって走りだした。横断歩道の左右を見ず直進し、自転車を追い抜いて、挨拶をしよう としたポトフも通り過ぎて、家に戻ってきた。  「ママー!」 しばらくたってキッチンからママの声。 「なぁに~外行く元気あるなら学校いきなさいよぉ!」 「いくよ~!あしたから絶対学校へ行く~!行きたい!」 「はいはい、かってになさい。」  僕はしかし、パラソルの事を言わなかった。ママはこんなステキな事を知らないんだ。 これはきっと僕の勝ちだと思っていいはず。  でもママはちょっと嬉しそうだった。 あとがき。  この作品は、僕がずっと心の中にしまいこんでいた大切なものの一部です。誰にも取ら れないようにカギを掛けて雁字搦めにしたので、少なからず文章はギクシャクしていると 思います。あまりにも雁字搦めにしすぎたのでもう開かなくて自分でも正直困っています が、それでもやっぱり僕はその染み出てくるものをつい書いてしまいました。      主人公は登校拒否の小学生と言う設定です。  でもきちんと形にして書けたのは、なにより2005年3月3日の午前2時から3時に 眠れなくて焼酎を飲んで、寝そべりながら書いていたからにちがいありません。少なくと も僕はそう信じています。そんな気持ちにならなかったら、登校拒否の少年のような気持 ちにならなかったら僕は一生こんな文章なんてかけ なかったはずだから。  僕は2005年3月3日の午前2時から3時に降りてきたステキなパラソルを大事にし ようと思っています。(^^*), 主人公は登校拒否の小学生。ますます広がるしんぷるワールドっ☆, 2005/03/03 --- フェアリーウォール, これは本当にあった話です。  JAVAを学生達に教える初日の朝だった。ボクは早めに学校に到着していて、相変わらず 缶珈琲を飲んでいた。飲みながら夏季集中講義の生徒しか来ないはずの、まだ誰も居ない校舎 を歩いていた。いつもなにかを始める時は、大抵飲んでから物事をすすめるのだ。  誰もいない所で珈琲を飲んでいるとさすがに朝でも少し寂しい気分になる。だからボクは校 舎の中を歩きながら飲んでいた。飲み歩きってお行儀悪いんだけどね。でも誰も見て居ないか らいいや。  その時、ボクは黒く動いている物体を見つけた。遠くだったので、それは輪郭を作りだすの に少々の時間がかかったが、それはやがて虫である事が分かるようになってきた。――最近視 力落ちたな、トホホ――  その時見ていたのが喋々。信じられないくらい大きいクロアゲハがそこに居たのだ。  でもそのクロアゲハは、ガラスが邪魔をして外に出れないでいた。  始めはどうでもいいやと思って珈琲を飲みながらそいつを眺めていたんだけれど、だんだん 喋の事が哀れに思えてきた。なんてことだ。こんな朝っぱらからどうでもいいような問題に悩 まされることになるとは。今ボクはそいつを救ってやるか救ってやらないかを考えているのだ。 JAVAのプログラムよりも、アルバイトよりもだ。  ボクは蝶に近づいていき、ガラスで出れない蝶の後ろまでやってきた。そして、そいつを両 手ですくった。  彼は最初自分を襲う物だと思いその手から逃れたがったが、この手が自分を助けてくれる物 だとすぐに分かったようだった。  彼の行動はさっきと打って変わったようにボクの手のなかで飛ぶようになっていたのだ。  それからボクは蝶を傷つけないようにそっと透明な壁の外へ逃がしてあげた。  蝶は振り返りもせずまっすぐに四階の校舎を飛び越えて行った。  ボクが蝶を救ったはずなのに、その時ボクはとても救われたような気がしたのだ。 あとがき。 だからボクはフェアリーウォールというサイト名にしたのかもしれない。, サイト名を考えるようになった一つの体験です。, 2004/09/21 --- 控え室へ,  的当て五郎が控え室に入ってしまった後では、ボクは単なるカカシに過ぎないのかもしれな い。天井を見るともなしに眺めながらそう思っていた。  控え室からはドライヤーの音が聞こえる。誰か髪の毛をスタイリングしているのかもしれな い。孔雀ヘアに、あるいはアルマジロヘアに。  ボクはそのような事を考えながら、ただ一点をずっと眺めながら壁に寄り掛かっていた。な んだかとても煙草が吸いたかった。  そう思っていた所に偶然人が通りかかった。煙草を持っていたら一本貰いたい。 「スズキAD!?おいスズキAD!!」  でも彼はボクを無視してそう言いながらその名前の人を探していた。スズキADはここには 居ないようだった。彼が通り過ぎてしまったらまた辺りが静かになった。天井の白熱灯がとて もまぶしい。  控え室のドアはとても頑丈そうに見えた。的当て五郎は今何をしているのだろうか。そう思 っていたら彼がすぐに控え室から出てきた。  普段は何処にでも居るような中年のおじさんと言う雰囲気が、メイクで幕末のサムライの威 厳ある顔へ変わっていた。ステテコに腹巻だった人がこうやってきちんとした着物になり、刀 なんか腰に付けちゃったりなんかしたら、世の中それだけでちょっと信じられなくなりそうだ。 彼がメイクをする前とした後では、全くの別人になってしまって居るからだ。 「さて、それじゃあ行くか。」と五郎は言う。 「今日もいつもの調子でお願いします。」マネージャーらしき人が言う。  五郎は足早に第一スタジオへ歩いて行った。廊下のつきあたりで彼が見えなくなってしまう までその足音を聞く。その音が聞こえなくなるまで聞いていると、反対側から足早に誰かがや ってきた。 「ふぅ、まだ誰もきてねえな。よしよし間に合った。」  もう五郎もスタッフも皆来ていると言うのに彼だけそれを知らないで、間に合ったといって いる。こういう人の人生はきっと楽しいだろうと思う。 「おいスズキAD!!早くそれ運んでけよ!いつまで待たしてんだよ!」  控え室から勢いよく出てきた髭もじゃの筋肉男がスズキADに怒鳴った。 「あ、す、すいません!!今持っていきます!!」  スズキADはボクを担いで、スタジオに急いで走って行った。 「ちぇ、やっぱ遅刻だったか・・・くそ」とスズキADは言った。 ・・・そういえば、ボクは初めからカカシだったのだ。, なんだかシュールな物ができあがりましたっ!上手いとはお世辞でも言えないけれど、この作品結構好きですっ^^, 2004/09/05 --- 弾打線不快速, ――――――――――――――――――Fade in―――――――――――――――――  電車の中だ。  ボクは右から左へと勢いよく流れて行く風景を、暗鬱な赤色の座席に座り眺めていた。特に 観ていたのは、遠くの家や景色ではなく、すぐ目の前を凄い勢いで通り過ぎる、電柱と電線だ った。中だるみにより一定時間で上下に移動するように見えるそれを、何故か薄いクリーム色 のミルキーなアコースティックギターを持ちながら、退屈さも手伝い眺めていた。  そして、急に歌を歌いたくなった。電車の車輪とレールの起こす振動のせいだ。その一定時 間に流れる調子の良い渇いた音は、ボクに普段聞きなれたメトロノームを想起させた。もうそ うなってしまったら、目の前の上下する電線は楽譜にしか見えていない。電柱と電柱の間が一 小節と言った具合だ。  でも、必要以上に動く電線とは関係なしに、「世界で一つだけの花」を弾きはじめた。  周囲には、携帯電話でメールをしている人や、新聞や小説など読み物を読んでいる人、はた またお菓子を食べている人が居たけれど、周囲はどうあれ関係ない事にした。 ――ジャカジャンジャン~♪世界で一つだけの花~一人一人 あーげられ ませーん。 その花を探す事だけに一生懸命にーなーればーいーよ~ぅ♪――  ひたすら、馬耳東風に歌い続けた。しかし馬耳どころか、周囲は不思議なくらい無反応で、 本を読んでいる人も、メールをしている人も、まるでボクが居ないかのように、その作業に没 頭していた。まるで自分だけ違う世界から、無意味にこの電車の映像を見せられているような 気持ちになった。目だけが、不幸にもその電車に置き去りにされてしまったのだ。そんな気 分だった。  間もなく電車は、どこか名も知らぬ駅に停車した。  またドアが閉まり、電車が一瞬忘れていたかのように、わずかな沈黙の後、動きだした。 モーターが回転して、スピードが早くなるに従って高速ギアに自動で移っていく。高速ギアに なるにつれ、モーター音は序々に低くなっていく。  周囲が無反応なのでやけくそになって、ボクは停車しても、まだずっと弾き続けていた。す ると、なにやら嫌な臭いがしてきた。それは決して電車の、モーターの焼ける臭いではない。 三ヶ月、いや半年以上風呂に入って居ない乞食のような、猛烈な刺激臭だ。  それは、たった今ボクの隣に腰掛けた男から臭ってきた。  隣の男は、太った相撲取りのようなずんぐりした格好で、顔はパンチパーマを施した高見盛 にスルドく似ていた。大体この男は何故こんなに臭いのだろう。ただ臭いだけではなく、色も 随分黒ずんでいる。よく見ると体中に汚れが付着しており、見るからに不潔だった。一刻も早 くここを立ち去りたい気分に、一瞬でさせてくれた。  この臭いは実は何を隠そう、ハンパではない。プ~ンやツーン、と言うより、プェエェエ~ ン?(途中音程を情けなく揺らす感じで、しかも疑問符)という臭いだ。臭いの程度が想像を絶 しているのでこんな表現になってしまったけれど、自分の認識する範囲ではこのような擬音に なるのだ。  一応きりの良い所まで、さっき歌っていた歌を終わらせようと思った。何人かはすでに、臭 いに耐え切れず、別の車両に移って行ったのだが、周りにはこの臭いに気づかないかのように、 辛抱強くまだ多くの人が座っていた。恐らく我慢しているのだろう。大して暑くないのに、額 に汗を浮かべている人も居る。ボクが歌っても退かなかったのに。  間もなく、歌を歌いきった。ボクは鳴き終えたオスのセミのように、そそくさとその場を立 ち去ろうとした。ギターを白いハードケースに仕舞い、ポケットを調べた。席をたつ時にポケ ットを調べるのがボクの癖なのだ。おかげで忘れ物というものをした事がない。ボクの良い特 徴の一つだ。  そこでボクはあるはずの物がないのに気づいた。財布の方はきちんと右のポケットの中に入 っているのだが、左ポケットの中にいつも入っている携帯電話がない。空っぽなのに気づいて、 あわてて座席を振り返った。  そこには、ボクの携帯電話を手にとって眺めている、悪臭男がいた。突然の事に唖然として しまった。我が目を疑った。 「ふ~ん。。。」  その男は、メールを開いて、ボクの友人から来た受信メールを、気だるそうに一通づつ見て いたのだ。あまりの事に気が動転した。ボクの携帯電話を何時の間に盗っんだ。 「おい!返せよ!」  その男の持っている自分の携帯をひっつかんでとりあげると、男は無表情で、くちをぽかー んと開けたまま、ボクを見つめた。 「何勝手にとってんの~?ふ~ん。。。だと?ハ?」  ボクは最近まれに見るほど、思い切りブチキレた。おまけにパニック状態にもなっていた。 きっと、男の許せない悪臭もそれを手伝ったろう。怒りの頂点に達し、自分でも信じられない ほど、強烈に罵声を浴びせた。  「あ、、、あ、じゅみましぇ・・」  男があわてふためき、口をもごもごとさせる。 「あじぇじぇじゃねえから!ざけんな!」  すみませんと言おうとしたのは分かっている。でも、もう彼の言っている事はどうでも良か ったのだ。怒りに任せ、すぐにその場を立ち去り別の車両へ移った。 ――――――――――――――――――Fade out―――――――――――――――― あとがき。  夢です。現実にあったらちょっと修羅場になりそうですね。。。ハイ♪(ぉ  あ、主人公がギター持ってますけれど「深夜のギター弾き」とは一切関係ないです。(笑)  多分この夢を見たのは、数ヶ月前臭い乞食が電車の中に入ってきて、座席に思い切り横にな って寝ていたのを目撃したのが原因だと思います。彼の荒みようが、ボクに強い衝撃をもたら せたのでしょう。あれは、物理的な臭さの他にも、何か社会へ訴える臭さがありました。借金 地獄の慣れの果て。。。別に乞食が臭いからって、差別するわけではないのだけれど。せめて、 深夜の公園でもいい。体を洗ってかわかしてから車両に乗って欲しいものダ。  あとですね、「世界で一つだけの花」はもちろん某人気グループの歌っている、、、 アレの、改造です。(爆)でも、自分としてはなかなか上手い替え歌をつくったなぁ~と思っ ています。実際に歌いたくはありませんけれどネ。出来栄えの判断は各々個人にお任せ致しま す♪周囲の精神的な気温が十度以上下がる事うけあいっ!(爆), ぜんだせんって読みます☆, 2004/06/27 --- 叫喚翻訳機,  世の中には、バウリンガルなんていう物があるのは皆さんご存知ですよね。 バウリンガルというのは、言ってみりゃ犬の鳴き声を読み取って、何を伝えたがっているかを 表示してくれる『キカイ』です。近頃ミャウリンガルという、猫の鳴き声を表示してくれる 『キカイ』もできたようですけど、本当にそれが役にたってるのか、ぶっちゃけ本当に伝えた い事を、表示してくれているのかどうか、眉唾ものですね。  さて!そんな迷走、言語外翻訳ブームの最中(さなか)っ、一石を投じる新たなアイテム が・・・でてきちゃいました。その名も赤ちゃん泣き声翻訳機!これは文字どうり赤ちゃんの 泣き声を読み取り、その意思を表示するものなのですが、私はどうも好きになれないなぁ。  赤ちゃんが何故泣いてるのが分からないのはとても困る。できるだけ早く問題を解決してあ げたい。とかいろいろなニーズからそういった物が生まれたのですが、そんなのは相手をよく 観察していれば分かるんですよね。赤ちゃんの意図が見た目で分からない母親はぶっちゃけ母 親である資格さえ無いように思えます。  そんなのをいちいち使わないで――ちなみに現段階で表示まで20秒、100回に5回失敗 するらしいです。――せめて赤ちゃんの意思表示は母親の温もりで読み取っていただきたいモ ノですネ。プンスカ!  第一犬や猫だってよく観察していれば何が言いたいのかって分かってくるモンなんですよ。 これはそういう経験をしていない方には分からないわけなのですが、そういうものなのです。 そんな物をつくるよりかはもう少し、自動車のエンジン音を読み取って調子がいいとか悪いと か、経済動向を見て良いとか悪いとかを表示する『キカイ』をもうちょっと作った方がいいと 思うんだけど・・・。  そう思っているのは私だけなんでしょうか。, モノ云わぬ、モノの声こそ、聞くことよ, 200?/??/?? --- 死んだオレ, オレは19歳の冬、心臓麻痺でしんでしまった。 その日親が来ることになっていたのが幸いして、オレの遺体は葬儀されてすぐに火葬されることとなった。 川を渡り終えて、それからすべて何も見えなくなった。オレ自身の体が見せた幻覚である。 しかしその後は体は死んでいくので、後は体の知ったことではない、オレは気がついたら、遺体だけがハッキリとみえる 暗闇に寝そべっていた。そこには何十人もの遺体が仰向けに並べられていた。そしてオレ自身もそこにいた。 中には起きて話をしているものがいた。しかし、話している者達は、明るくも無いし、そして暗くも無かった。 オレは今居る場所がようやく分かった。オレは骨壷に収められていて、すでに墓の中に居るんだ。 隣の女の人が話し掛けてきた。死ぬ前の自分の形をしている、そしてオレもここに居る全員もだ。 「ねえ、あなたは何故死んじゃったの?」 無表情で話仕掛けてくる。オレも無表情で答えた。 「オレは、心臓麻痺かな、、きゅうに心臓が締め付けられて、息が出来なくなってそのまま、家族はどうして居るだろう。」  変だった、オレは死んだ、家族だってすごく悲しんでいるはずだ。それなのに、オレにはまったくの感情が 消えてしまったようになっているんだ。苛立つことを考えても哀しいことを考えても、そのはずのそれぞれの感情が、 まったく機能しなくなっていた。 「・・・感情が・・・ない・・・」 すると隣の女の人が言った。 「当たり前よ。感情は、人間だった頃の脳で生まれるんだから、火葬されて骨になっちゃったんだから、もうその必要も無いわ。」 「・・・そう・・か。」 「もういいの、もう何も考えなくて、」 「でも、脳が無いのにこうやって話せるのは、」 「それは精神の記憶よ。」 「精神?」 「そう、脳に蓄えられた情報は、精神に渡されるの。」 「そうか、、、もしかしたらそれで走馬燈が見えたり、今までのことを覚えているのか。」 「でも、その記憶もやがて消滅するわ。アルツハイマーみたいに、49日でね。」 「しじゅうくにち。。。か」 オレは死ぬと言う事を、死んでからあらためて分かったような気がした。 しかし、もう覚えるという事は出来なくなっていた。精神だけじゃ覚える事は出来ないようだ。 「あたし、本で読んだ事があるの。臨死体験をした人の本よ。そこに書いてあったのよ。」 「・・・消えちまうんだやっぱり・・・」 哀しいはずだった、オレの存在があと49日で消滅する、しかし、感情を失った今では悲しいと言う気持ちも起こらない。 「大丈夫よゆっくり消えていくはずだから、胃酸が食べ物を溶かすようにじわりじわりとね、あたしはまだ死んでから、 あなたくらいしか経ってないから、まだ生きていた頃の記憶はあるわ。」 「君はなんで死んじゃったんだ?」 「行きてくのがイヤになったの、ただただ勉強してそれから就職して、その先に何があるというの、働いてお金を稼いで、食べて生きて稼いで、 食べて生きて稼いで、それから知らず知らずのうちに年をとっていくの・・・楽しい事なんか何も無かった。 ずっと一人よ、、、結婚も考えなかった、一人でずっと暮らすんだって思ってた。でもそれがいけなかったって思ったときには、 もう遅かったの。。。毎日同じ日が過ぎていくばかり、ただ無限回廊のメビウスを、幾度も回っていくだけだった。 そのメビウスから逃げたかった。だから首つって死んじゃった。」 「・・・輪廻もメビウスじゃないのか?」  その時後ろのほうのおばさんが水面へ顔を出しに行くように上の方へと泳いで行った。 「あの人はどこへ行くんだ?」 「私達の生きていた所、ここから上にまっすぐ行くと行けるの、でもここに必ずかえって来る事、ここで待って、消えるのを待つのよ。 じゃないと、悪霊になって二度と生まれ変わる事は出来なくなるわ。」 「・・・うん」  オレは泳いで行った、記憶は出来ないはずなのにオレはその事は覚えた、やがて水面のような地面へ出た。 そこはお墓だった。オレの実家の近くのお墓だ。静かな冬の冷たい風が流れている、家族の涙のようだった。 温度も感じる事は出来ないが、そのような気がした。足がついている。よく幽霊といえば足がついていないとされているが、 ちゃんとある。オレは歩いてお墓から出て行った。とりあえず歩く、いくら歩いても疲れない、時々、幽霊だから空も飛べるんじゃないか と思ってジャンプして見せたが、2mまでしか飛び上れなかった。そのまま町中へ入り、へいを飛び越えて民家を貫通した。 時々庭に犬が居るんだが、犬だけには気付かれた。オレに向かって吠え掛かってくる。でも気にはしなかった。 それから、行きてるうちには出来ないことをやってみようと思った。レストランで無銭飲食、でも幽霊であるオレには 人に出された目の前にあるご馳走を食べたいという気持ちも無かったし食べようとしても貫通する。だが自動車の屋根に乗っかりそれを移動手段とした。 「何か気持ちは生きていないか・・・」 オレは電柱をするする登っていき、そのまま飛び降りた。でも痛くも怖くも・・・楽しくもなかった。  駅前にも行った。オレが生きていた頃良く行った駅前、そこで車にひかれてみた。体を通り抜けていった。なにもかも、何も感じなかった。 駅前で相撲取りの背中にのっかってポカポカと頭をたたく風にみせたりスカートの下を寝そべって見たり、、、何も感じなかったので空しくなってきた。 それは、人間をまるで他のどうでもいい動物と見ているような状態だった。そんなこんなで夕暮れになり、 自分の墓の近くまで、車(の屋根)に乗って帰ってきて、飛び降りた。お墓の近くの道をそれからゆっくり歩くと、道端に鳥の雛が、 うずくまっているのを見た。  上には鳥の巣があるが、カラスに襲撃されたのであろうか、めちゃくちゃだ。オレは雛を見殺しには出来ない、感情ではなく精神が オレに働きかけた、だが鳥の雛を手にすくおうとしたが、通り抜けてしまう。どうしたら良いものか。。。  前の方からその時女の子が歩いてきた、この女の子に助けてもらえないかオレは女の子をみながら鳥の雛に話し掛けた。 「おい雛鳥よ、オレみたいに死ぬんじゃないぞ、、、」 そうすると、雛鳥は今までうずくまっていたが急に千鳥足で走り出し、女の子の前に転んだ。そしてぴぃぴぃ、と鳴くのである。 「あ!かわいい」 女の子が歓声をあげた。 「どうしたの?お家はどこ?ぴーちゃん。」 女の子は雛鳥をもってそれから木の上を見た。少し驚いていたようだが。。。それから雛鳥を暖かく見た。 「・・・わたしがあたらしいお母さんだからね。ぴーちゃん。」 すると女の子は雛鳥を連れて走っていった。オレは、それを無表情で見、それからお墓に潜っていった。 おわり。, もう自分自身がゾンビになってしまったんじゃないかという程、感情や感覚が鈍磨し苦しかった。気分の変調、人間らしい生活もできなくなり、なにをしても空を掴むよう。そんな中作った一作品。, 2004/06/23(2002/09/16作成) --- 再生,  死なないでって言われたから、ボクはここへ戻ってきた。 何もかもなかったことにするのはいけない事だって。 誰かに言われた・・・誰だっけ?  ボクはもうすこし生きてみようと思う。どんな災いが降りかかったとしても。 もう一度死んだも同然だったのだから・・・もう平気。 今はここから始める事を考えよう。, 10代の終わりから20代前半まで、うつの対処法も判らなかった。その時に、世界との接点を持つ為に個人ページをはじめた。今はもっと酷くなってるけど対処できるからねぇ。当時は大変でしたっ, 2004/05/15